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2013年5月 統合医療に必要なセラピストの“手”

先日、大阪大学大学院医学系研究科生体機能補完医学講座教授・伊藤壽記先生とゆっくり会食しながら話合う機会を得ました。伊藤先生はeBIM研究会(エビデンスに基づく統合医療研究会)の理事長としても活動しています。先生はその研究会の中で統合医療について下記のように定義づけられています。  
“現代西洋医療(医学)は細分化・専門化が進み、基礎の領域ではマクロからミクロへと、また臨床では臓器別の部分部分の医療が展開され、その結体を見失う状況に陥っていると言われています。すなわち、“木を見て、森を見ず”の状態と言えるのです。(~中略~)患者-医師関係が疎遠となり医療不信へと繋がっているのではないかと考えられています。一方、患者の疾病に対する意識構造も受動から能動へと変化しています。IT等の急速な情報の普及により、患者の予防医学や健康への関心が増しています。その中で患者は生活の質 (QOL) を重視した医療を求めています。そうした医療として、補完代替医療 (CAM) が挙げられますが、これらほとんどがエビデンスに裏付けられていないのが現状です。しかし、がんなどの生活習慣病を始め、認知症や災害後の後遺障害など、すぐには回復が難しい患者は、従来の西洋医療だけでなく、機能性食品や鍼灸、アロマセラピー、ヨーガなどのCAM を含めた幅広い選択肢の中から信頼できる医療が提供されることを望んでいます。(~中略~)そのためにはエビデンスが必要となります。そこで、エビデンスに担保されたCAMを現行の医療に有機的に融合させ、全人的な立場で治療する、新たな治療体系としての統合医療(Integrative Medicine)が求められています。”
伊藤先生によると、被災者に対して、アロマセラピー、ヨーガなどの代替医療が行われたことが注目を集めているという。高血圧、糖尿病などの患者さんは被災してから何日も薬が手に入らない状態が続いた。当然数値は上がってくる。ようやく薬が手に入り、その薬を摂取しても、今度は数値がなかなか下がらない。そんな患者さんに、アロマセラピー、ヨーガなどをしていくと、数値が下がったことがきっかけとなり、被災地に統合医療研究センター(仮称)を設立し、統合医療のモデルを作ろうという動きが見られたそうです。

私たちは画像、血液検査による診断、手術などによる処置、投薬と世界に誇る現代医療を受けることができます。但し、そこには限界が見えてきています。どうしても欠けている部分があるということは否めません。より治療効果を上げるには手技療法、セラピーが現代医療に加わらなければなりません。これらにセラピストの手が必要です。
伊藤先生はあらゆる病院にサプリメント、鍼灸、アロマセラピー、ヨーガなどの補完代替医療を併用すべきである、アロマセラピーについてはセラピストには国家資格を与え、精油には公の基準を設けるべきであると考えられています。
統合医療が一歩一歩進んで来ていますよと言う伊藤先生の言葉が耳に残っています。

*)Complementary and Alternative Medicineの略



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