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2010年08月 学生に見るその国の将来
6月下旬、連日30度を超す札幌で、NPO法人つくし奨学研究基金の理事会、総会、懇親会がありました。この奨学金は医学、薬学の大学院生が対象で、指導教官の推薦が必要です。月10万円を1年9ヶ月給付するもので返済する必要がありません。11年間続けており、延べ143人に2億8千万円を給付してきました。中国、韓国、インドネシア、タイ、エジプトなどからの留学生が多数含まれています。私はこの基金の事務長、理事、会員をしていますが、申請者からいろいろな声を聞くことが出来ます。
“夜通し研究があり、アルバイトをする時間も取れない” “自宅からの通学者が少なく、食費、家賃代の支払いに苦労している学生が多い” “父親が亡くなったり、病気で職につけないなどの家庭事情で学費の支払いが困難” “生活費だけでなく、試材など研究費にお金がかかる”など。
独立行政法人「日本学生支援機構」から奨学金を受けている学生も多いです。経済状況が悪化していくにつれ、この給付を受ける大学生は2008年度で40万人と増える一方です。ただし日本学生支援機構は返済の義務があり、大学で200万、大学院で200万合わせて400万の奨学金を得て、返済義務を持って社会に出るケースが多いそうです。
またアメリカでは大学、大学院あわせて1000万円を超える奨学金を得て、卒業後、返済していくケースが多いそうです。
中国では20年ほど前は学費がいらず、却って生活費の一部を受け取っていたそうです。今では例えば中国福建中医薬大学では1年間の学費が6300元、日本円では約9万円。先日広洲でのトヨタの部品工場でストがありましたが、それは月収1200元前後からの賃上げ闘争ですから、地方の人にとっては大学の学費はかなりの負担を強いられています。中国は成績トップから奨学金が出ます。あるいは経済的に負担が大きい学生には学費の半納などで対処しているそうです。いずれにしろ、学生たちの活気がその国の将来が見えてきます。そして今一番活気があるのは中国の大学でしょう。
私どもと22年前から交流をしている福建中医薬大学は1958年に創立された、中国で最も古い中医薬大学の一つです。大学には13の学院(学部)と2つの研究院(大学院)があり、在校生は9200人、スタッフは2500名。8つの付属病院と3つの臨床医学院、20の教学医学院を持っています。5年制で、大学院まで進むと7年制になる。大学は市内(留学生用、大学院生)と郊外(大学生)に2つのキャンパスがあり、私は毎年、鍼灸科、医療美容科、リハビリ科などの大学3年生100名を対象に集中講義をしています。講義の内容は日本の統合医療の実態、分子栄養学、アロマの科学、アロマでの鎮痛、鎮静、興奮、睡眠、免疫不活などのデータを示していき、ビタミンオイルを使っての実技、顔鍼などの実技もしていきます。毎年、彼らの熱心さ、明るさ、親切な気持が熱く伝わってきます。
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