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2009年6月 博愛精神と遺伝子 ~安部塾より
5月中旬から安部塾が始まりました。
安部塾の形は以前から構想を温めてきました。我々は小学校、中学校、高校、そして大学と教育を受けてきています。しかし多くの方に満足のいく教育を受けてきましたかと聞いてみると、ほとんどの方があまり良い教育とは思えなかったという答えが返ってきます。私はそこに教育体制の悪さと、そして先生にも問題があるのではと思っています。
一人の先生にもっと深く影響を受ける教育が必要だと感じています。そこにはその先生の人生観も含めて、学問の基礎的なところをおさえながら、興味を広げていく教育でなければ、勉強の面白さが出てこないのではないでしょうか。大勢が参加するセミナー、講演会ではなく、一人の先生について、少人数で勉強をしていく形を作り、その形を次の世代に残し、勉強の面白さを伝えたいと考えていました。
そんなことを帝京大学医真菌研究センター所長、大学院医学研究科教授の安部茂先生に話をする機会があり、塾の構想を話したところ、先生も同じ構想を持っていて、即座に塾を作って見ましょうと快諾されました。
安部塾のテーマを“生物学的人生観―遺伝子、ヒト、文化”として、先ず3回出席可能な人を集めましょうということになりました。第1回目は基礎として「遺伝子について」、第2回目は「遺伝子とヒトの脳と身体」、第3回目は「遺伝子と文化そしてアロマセラピー」の内容で始まりました。
第1回目の冒頭、安部先生はジャック・アタリの“第5の波”から話を進められました。ジャック・アタリは1981年から1990年までフランス、ミッテラン政権の大統領特別補佐官を務めた人で、ヨーロッパ最高の知性と呼ばれて、これまでもソ連崩壊、金融バブル、テロの脅威、インターネットによる世界変化を予測してきました。そして彼はヨーロッパでの大ベストセラー“21世紀の歴史”(作品社)の中で、今後50~60年の間に“5つの波”がやってくると主張しています。
簡単に紹介しますと、第1の波はアメリカ支配の崩壊。 第2の波は15~20カ国がリードする多極化の秩序。 第3の波は多国籍を超えた国によるグローバルなルール統治。 第4の波は超紛争。紛争を乗り越えなければ行けないが、そこにはノマド(Nomad)と呼ばれる遊牧民族が増え、大きな役割を果たす。人類の歴史はノマドの歴史とも言え、人類が定住し始めたのがわずか5000年前のこと、今後世界中どこへでも行ける上層ノマドは世界中で1000万~5000万人になる。
そして第5の波は2060年頃の超民主主義。それまでとは別な統治方法や超紛争に替わるものとして利他主義が出てくる。人は他人を援助することで、自分が幸せになることに気付いてくる。高級自動車や自家用機を持っていることがステータスではなく、真の賢さは他人を愛する心すなわち利他主義が心のよりどころになる。価値感が変化し、人を助けることで幸せを感じる博愛精神に心酔することが自分達の利益になることに気付き、さらにトランスヒューマン(合理的博愛)へとつながるとしています。
安部先生が第5の波から話を始めたことは、生物学的に見た法則には身体と心があり、どちらもルールを外れると混乱すること、また遺伝子は単に親から子ではなく、祖母、祖父、またその先祖の遺伝子が混ざり合ったものだから、人を助けることで幸せを感じる博愛精神が心のルールになることを指摘したのだろうと解釈しました。
このようにして安部塾は進められていきます。これからの安部塾に大きな期待をしています。
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